【国宝】円文螺鈿鏡鞍 えんもんらでんかがみくら,昭和32年(1957)2月 指定

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一式揃う国内唯一の鎌倉時代を代表する馬具平安時代末期、不安定で使いにくかった鞍を、公家や武士の騎射戦に最適なものとして、新しく工夫した形状の鞍が作られました。
金覆輪とは、鞍の周縁部に施された金色の装飾のこと。
円文螺鈿とは、夜光貝を使った蛇の目模様の象嵌細工のことです。

※鎌倉時代 1185年〜1333年

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虹色に光り輝く螺鈿の鞍装飾には、貴重な夜光貝が使われ、美しく豪華なデザインとなっています。
全体を贅沢な螺鈿で飾ることを禁制した時代に作られたため、金銅をかぶせた「金覆輪鏡鞍」という形になったと考えられています。

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時代を超えて姿を留める装飾馬具特に、中世の軍陣鞍で馬を飾る三繋(さんがい)は「面繋・胸繋・尻繋」の3つ全てが揃い、如意宝珠(にょいほうしゅ)の模様が透かしてある轡など、基本的部分が揃っていることは大変貴重です。

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実用性から生まれた日本の鐙平安時代末期頃に出現した鐙が、舌長鐙(したながあぶみ)です。
騎射戦では、足を踏む部分の「舌(した)」が長いことで深く踏み込むことができるため、安定と足使いに便利な形となっています。
中世の馬具で、轡と鞍と舌長鐙、三繋が全て揃っていることは日本唯一の例です。