おいぬ様

山に棲まうオオカミへの、畏敬の念

山奥で道を失った日本武尊と軍を導いた白狼に、「災いを防ぎこの地を守護せよ」と日本武尊は仰せられた。
そして狼は、その言葉に従い「大口真神」となって御岳山に留まった…

江戸時代から、御札とともに広まった「おいぬ様」信仰

武州御嶽山の「おいぬ様」は、実はニホンオオカミです。
狼が守り神となった由来は『日本書紀』に記されていますが、御岳山では次のように伝えられています。
「日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際、この御岳山から西北に進もうとされたとき、深山の邪神が大きな白鹿と化して道を塞いだ。尊は山蒜(やまびる=野蒜)で大鹿を退治したが、そのとき山谷鳴動して雲霧が発生し、道に迷われてしまう。そこへ、忽然と白狼が現れ、西北へ尊の軍を導いた。尊は白狼に、『大口真神(おおくちまがみ)としてこの御岳山に留まり、すべての魔物を退治せよ』と仰せられた。」

江戸時代の天保の頃からは、大口真神は魔除け・盗難除けの神として広く知られ、親しみを込めて「おいぬ様」とお呼びするようになりました。そして、今も変わらず多くの方々から厚い信仰をいただいております。

ニホンオオカミは、今は絶滅したと言われます。御岳山では一昔前までは、狼たちと人は共存して生活していました。狼は怖い存在でありながら、畑を荒らす害獣を食べてくれる有難い存在でもありました。

近年は「おいぬ様」にちなみ、愛犬の健康を願う人々で賑わうようになりました。そこで当社は皆様からのご要望を受け、愛犬祈願を社頭にて行っています。一年を通し、たくさんの愛犬達の健康をお祈りしております。
詳しくは「愛犬のご祈祷」のページでご覧下さい。

本殿の狛犬は、狼

本殿の狛犬は江戸時代のブロンズ製で、天明3(1783)年の作と記されています。
お社の守りを固める狛犬といえば、唐獅子で阿吽の対になっているものが多いですが、こちらはニホンオオカミを象った狛犬です。
社殿前の威厳のある狛犬は、長崎の平和祈念像の作者でもある北村西望の作品で、昭和60(1985)年に奉納されました。

昔から御札にも、狼

「おいぬ様」のお札は、信仰の拡大にともなって江戸時代の天保の頃から広まりました。
お札の「おいぬ様」の目に三日月がかたどられているのは、日本三御嶽を「雪月花」に例え、武蔵御嶽神社は「月」とされたからです。他の二社は、木曽の「御嶽神社(おんたけじんじゃ)」の「雪」、甲府の金峰山の「金櫻神社(かなざくらじんじゃ)」の「花」です。

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