境内から離れた富士峰園地にあり、子授け・安産と長寿の神として信仰の厚い三女神を祀る「産安社」。
江戸時代より生きる御神木「安産杉」、「子授け檜」、「夫婦杉」にも、ぜひお参りを。
杉と檜の大木に、安産・長寿の祈念をこめて
御祭神は、三女神
山の神である大山祇命(おほやまつみのみこと)の娘君で、美しい女神と伝わる「木花開耶比咩命(このはなさくやひめのみこと)」。その姉君で岩のごとく永久不変の生命をもたらす「石長比女命(いはながひめのみこと)」。そして、応神天皇(八幡神)の母君・神功皇后「気長足比咩命(おきながたらしひめのみこと)」。三柱の女神をお祀りしています。
御祭日は、木花開耶比咩命さまの象徴でもある桜の咲く頃。4月中旬の吉き日を選び祭礼を行います。古くより安産と子供の健やかな成長を見守る神として、また長寿の神として信仰を集め、多くの山の民が参列し憩う賑やかな祭となります。
御鎮座は、文治年間(1185~1189)。源頼朝公創立と伝えられ、武蔵御嶽神社の摂社に数えられています。社殿はもともと安政5(1858)年に「大口真神社」として創建された切妻・妻入の一間社で、昭和12(1937)年に移築され、産安社の本殿となりました。
御岳山の、御嶽神社の坐す高い方の山を丸山と呼ぶのに対し、産安社の坐す低い方の山は富士峰や浅間山と呼ばれ、富士山に見立てられています。春にはカタクリ、夏にはレンゲショウマなどの花が咲き賑わいますが、かつては山桜の名所であったようで、江戸時代の御嶽山図には「富士峯千本桜」と描かれています。
聳え立つ、御神木
【夫婦杉】ふくよかなコブが多くある方が「女杉」、もう一方が「男杉」とい言われ、二本仲睦まじく立つ姿から「夫婦杉」と呼ばれています。夫婦円満、人やもの・仕事などとの「良縁結び」の御神徳があるとされています。
【子授檜】二股に開いた根元と突き刺さる幹は男女和合のしるし、また、右上の勾玉型のコブは子宝を表しているといわれています。子宝やアイデア等を「授かる」ことに御神徳があるとされています。
【安産杉】どっしりと力強く根を張る姿は長寿を表し、丸く包み込むような幹は安産を、分かれて伸びる数々の枝は子孫繁栄を表していると言われています。長寿、安産、子の成長のほか、「産み出す」ことに御神徳があるとされています。
自然が多く残る山
産安社の坐す富士峰園地は、ケーブルカー御岳山駅から徒歩数分の位置にありながら、国内でも有数といわれるレンゲショウマの群生地であり、ムササビなどの動物も数多く生息する天然林を周遊いただけます。鹿やカモシカの食害を防ぐために柵をめぐらせてありますが、出入りができるようになっています。
頂上付近には関東一円を展望する見晴らし台や東屋を備え、花や新緑、木漏れ日に紅葉と、それぞれの季節の自然に囲まれながら、ゆったりと浸ることが出来る場所です。