第48回奉納俳句入選作品

奉納俳句選評

特選

一席  合掌に霧吹き上げ来遙拝所    古谷 彰宏
奥宮を遠くに遙拝し祈りの合掌をした刹那、谷から霧が吹き上げてきた。御嶽の神と心が一つに繋がったことを感じただろう。
神の息吹の霧に触れた作者は幸せだ。

二席  おほかみの護符貼る井戸や柿若葉 関 迪子
神話の時代から山岳神の守り神はおほかみだ。山を背活の糧にしている人はおほかみの気配の中に生きている。
宿坊の景色だろうか、井戸におほかみの護符が貼られ日々の安寧が保たれている。柿若葉が実に美しい。

三席  天高く大口様へ奥参り      川村 能正
秋晴れの一日。奥宮にあるおおかみの神へお参りした。険しい山道を物ともしない心意気が素晴らしい。
山の神さまに親しむことが心身の安寧を招くことに繋がる。

四席  蜩の声宿坊の朝まだき      宮本 象三
御師の人々は早起きだ。それよりも早く山では蜩が鳴き始めたところを描いた。
寝床の中で山の動き始める気配に耳を欹てる作者が見える。

五席  葉山葵を地酒のあてに御師の宿  長谷川 栄
都会で生活するものにとって、宿坊の料理は新鮮である。どれも捨てがたい。
今晩の突き出しは葉山葵のお浸し。地酒の素朴な旨さとよく合うことよ。

選者吟 しづけさや霧満月の御嶽山    蟇目 良雨

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