応募総数 二百五十五句
奉納俳句選評
特選
見下ろさば関八州の鷹となり 渡邊 敏雄
一羽の鷹が関八州を見下ろしていると見做した雄大な句。
武蔵の一角から関八州を見守る御嶽神社に相応しい作品。
朝日さすみそぎの滝の垂水かな 津布久 信雄
厳寒の朝、禊の滝に下がっている氷柱に朝日が差し込んださまを詠む。
身の引き締まる作者の心が伝わる。
月涼し湯上りに飲む山の水 天地 わたる
宿坊の夏の夜の景色。一日の修行を終えて入浴した後に飲む山の水の旨さが伝わる。
酒でなく水を飲むことに潔斎の気持ちが持続している。
秀逸
おいぬ様坐す山の夜の天狼星 我妻 遼
重忠の像を若葉の陽が照らす 川村 能正
御師の庭隙なく蒟蒻芋を干す 斉藤 久美子
風に聞く梅のあるらし山のかげ 岩谷 良敬
紅葉且つ散るや重忠騎乗像 浜田 恵子
佳作
うんかいのはしごにわたしはのぼったよ 石井 愛乃
神の宿真神の護符に冬ともし 玉水 祐
朝露の虫のさざめき鳥の声 荒川 啓太
霧の舞力授かる奥の院 髙橋 麻美
露涼しレンゲショウマの揺るる道 池田 章子
朝霞笙の音渡る御嶽山 阿波連 光太郎
選者吟 夜もすがら大口真神もがり笛 蟇目 良雨